ケーススタディ:フェアモント ホテル&リゾートのエンプロイヤーブランディング

ケーススタディ:フェアモント ホテル&リゾートのエンプロイヤーブランディング

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記憶に残るのはその中で働く人

ロンドンのザ サボイ(The Savoy)、ニューヨークのザ プラザ(The Plaza)、さらにはカナダ、ケベックシティの威厳と品格に満ちたル シャトー フロンテナック(Fairmont Le Château Frontenac)、バンクーバーのオーシャンフロントに佇む雄大なパシフィック リム(Fairmont Pacific Rim)に至るまで、フェアモントのホテル&リゾートは、カナダ国内外を代表するホテルです。

そして、利用客の記憶に残るのはそうした箱ではなく、その中で働く人です。

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北米・中米、タレント&カルチャー担当シニアバイスプレジデント、キャロライン・クラーク氏は、「お客様は客室内のアメニティについてコメントしたいのではなく、フェアモントのスタッフからどんなに温かく素敵なサービスを受け、どんなに特別な気持ちになったのか、そのストーリーをシェアしたいのです」と話します。

フェアモントでは、「その瞬間を記憶に変える」という使命を果たすために従業員を重要視し、その姿勢が独自の厳格な選考プロセスと従業員に対する配慮に表れています。こうした気遣いも、フェアモント ホテル&リゾートがランスタッド・エンプロイヤーブランド・リサーチにおいてカナダで最もエンプロイヤーブランドの高い企業の一つに選ばれた理由です。ホスピタリティ産業の魅力度が全体として芳しくない中でなお一層の成果と言えます。

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魅力ある環境とキャリアパスの提供

では、フェアモントは従業員にとってそれほど魅力ある環境とキャリアパスをどのように提供しているのでしょうか。

カナダではリゾート地から主要都市まで、21のフェアモントブランドのホテル&リゾートが運営され、それぞれの街のシンボルになっています。フロント係、接客係などホテルの顔として働くスタッフ、縁の下の力持ちとして裏を支えるハウスキーピング、調理、ランドリーサービスを含め総勢1万2,000人が働いています。

「真の意味で成功するには、お客様のその瞬間を記憶に変える意欲と主体性に満ちた人材が必要であり、それに見合う教育が必要です。そして、その鍵を握るのが従業員との絆です。その絆から今度はお客様との絆が生まれます。絆は表舞台で働くスタッフにとっても裏で支えるスタッフにとっても重要です。お客様に一生忘れないと思っていただける体験をお届けすることに一人ひとりが大きな誇りを持つ必要があります」

「ならばそれをどのように実現しているのか。私たちの理念はとてもシンプルです。私たちが従業員を大切にすれば従業員がお客様を大切にし、その結果、お客様がフェアモントを愛してくださり、経営者にとってはそれが数字になって表れます。従業員の満足度はお客様の満足度と同様に重要です」(クラーク氏)

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サービスに対する情熱

この相関関係は人材選びから始まっています。「優れたサービスとはマニュアル的、機械的なものではありません。

提供する側に特別なサービスをご提供しようという心からの情熱が必要です。こうした情熱が自然な温かさ、偽りのない親切心、お客様のご要望を察する力として現われます。

さらにこうした情熱は教えられて身につくものではなく、それぞれのDNAに刻まれたものです。ですから私たちは体系的選考プロセスを綿密に構築し、こうした情熱を持つ人材を選り抜いています。選考プロセスの土台となっているのが長年蓄積してきた優秀な人材のプロファイリングデータです。これを基に優れたゲストサービス係、優れたハウスキーピング係の特性を割り出しています」

「当社独自のオンライン・タレントメーターアセスメントとその後の面接を通じて、欠くことのできない情熱を持ち、理想のプロフィールに合致する候補者を選び出します。

こうした厳格な選考基準を取り入れることによって、適性の高い人材を獲得し、離職率も抑えることができます。新しいホテルを開業する時など一気に人材が必要になる時でも、応募数に対して採用率が膨らむことはありません」(クラーク氏)

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家にいるようなくつろぎ

この相関関係のもう一つの礎になっているのが職場環境と従業員に対する配慮です。長時間労働・低賃金というホスピタリティ業界のイメージが、多くの人にこの業界で働くことを思いとどまらせている一方で、フェアモントはイメージと現実が往々にして違うことを示す良い見本です。

「私たちには24時間365日休みがありませんので深夜勤務、早朝勤務が日常的にあります。ですが私たちにとってホスピタリティ業界とは、楽しくエネルギッシュな仕事の場です。フェアモントでは他より魅力ある報酬・福利厚生制度を用意し、医療・歯科はもちろん、ヨガクラス、ビーチバレーボールなどのリラックスするための機会まで幅広く提供しています。従業員は世界の系列ホテルを優待価格で利用することもでき、フェアモントを自分自身で体験できます。

ですがフェアモントの一番の特徴は組織内で醸成され、これからも守りたいと考えている連帯感だと思います。ヘルスケアをはじめとする正式な福利厚生と同様、私たちの互いの結びつきの細かな部分にそれが現われています。ある従業員の言葉にフェアモントがなんたるかが要約されていると思います。『フェアモントで働くことは家族の一員になることと似ています。家に帰るような気持ちになるのです』」(クラーク氏)


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多彩なキャリア開発、リーダーシップ育成プログラム

フェアモントは従業員に個々の可能性を十分発揮してもらうための取り組みの一環として、多彩なキャリア開発、リーダーシップ育成プログラムを展開しています。従業員にとって魅力的な制度の一つが世界各地で働く機会です。その根底には、「従業員の成功が組織の成功」という理念があります。

制度の一つ、サミットプログラムでは、入社時に意欲あるリーダーとして選ばれた人材を将来のマネージャー候補、幹部職候補へと育てます。「年に一度のタレントレビューによって有望な人材を抽出します。ですが会社が一方的に指名するのではなく本人の応募が必要です。

リーダーには意欲とキャリアの中で成長する能力の両方が必要だからです。こうしたプログラムの結果、毎年、社内上級職の3分の2が昇進を果たします。それ以外はホスピタリティ業界内または異業種から採用し、新しい考え方や幅広い経験を取り入れられるようにしています」(クラーク氏)

従業員に対するこうした姿勢が真の意味で試される機会が先頃ありました。アコーホテルズグループによる買収です。どの買収でも厳しい要求が突きつけられます。ですがアコーホテルズの会長兼CEOは時間を作り、フェアモントの社内ソーシャルメディアプラットフォームに個人的にメッセージを送りました。「私たちの仲間は、心配ではなく、より大きく成長するグループで働ける機会を楽しみにしています。フェアモントらしいカルチャーが失われることはありません」

 

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最初に正しく対応すれば、その流れが続きます

こうしたフェアモントの成功から他の企業は何を学べるでしょうか。従業員を大切にすれば、従業員がお客様を大切にすることは誰もが知っています。フェアモントはエンプロイーエクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスとの結びつきを組織の根幹に据え、職種にかかわらず誰もが尊重され、大切にされます。

クラーク氏は次のように話しています。「従業員の満足度とお客様の満足度の密接な相関関係が私たちのビジネスを特徴付け、その成否を決めます。最初に正しく対応すれば、その流れが続きます」

 

 

エンプロイヤーブランドとは?

「この企業で働きたい」と思われる「勤務先としての企業の魅力」を意味します。
エンプロイヤーブランドを高めることは、優れた企業イメージを構成すると同時に、職場環境の改善を重ねることで、「働く人、家族、求職者にとって真に魅力ある企業」を目指すことになります。エンプロイヤーブランドは欧米を中心とした海外では、今や主流の言葉です。
ランスタッドは世界の企業が取り組む「エンプロイヤーブランディング」を日本にも広げ、企業の採用活動や組織力向上、そして働く人と企業の双方が真の力を発揮できる労働市場の創造に貢献することを目指しています。

ランスタッドはエンプロイヤーブランディングを通じて、企業の採用活動や組織力向上、そして働く人と企業の双方が真の力を発揮できる労働市場の創造に貢献したいと考えております。長年にわたりエンプロイヤーブランド・リサーチを行なっていますので、その最新レポートをぜひご活用ください。

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