ドライバーの買い手市場はいつまで？アフターコロナの採用を考える

ドライバー人材の買い手市場はいつまで？

アフターコロナの採用を考える

こんにちは。ランスタッドドライバー事業部の倉本治(くらもとおさむ)と申します。ドライバー人材をご紹介するため、運送会社様へ営業することを生業としている私が、お客様との対話、そしてドライバーの採用や就業サポートの最前線で感じている「今」の視点で、業界の今後を展望します。

最近、お客様とよくこんな会話をします。

(お客様) 「直接雇用にドライバーの応募がくるようになったから、今はランスタッドさんのところから派遣してもらわなくてもいいや」

私はそこで簡単に引き下がるようなヤワな営業ではありません。当然こうお答えします。
（倉本）「With coronaの状況で正社員さんを雇い入れるのは大きなご決断かと思います。雇用回復の合図は常に非正規労働者の増加からなので、よろしければ派遣ドライバーの導入で様子をみつつ正社員化など検討してみませんか」

過去を思いかえすとリーマンショックの時も同じような言葉のやり取りがありました。この時の経験から、今の私は自信をもってこう断言します。
不確実な時ほど、「雇用の柔軟性」が企業の環境対応力を高めるのです。

新型コロナウイルスの流行開始から約半年が経過しようとしている今、ドライバー採用の状況は様変わりしました。ではAfter coronaに向けた準備は整ったのでしょうか。

データを一見すると、人手不足は回復傾向がうかがえます。しかし、私は「回復」ではなく、今後はよりドライバー不足が加速する懸念をしています。その根拠を見ていきましょう。

グラフは調査時点での荷動き指数の実績(赤)と見込み(青)を示しています。
今回のコロナショックでは製造業から始まった休業ラッシュにより取り扱う荷物が急激に減っていることがわかります。そうなると当然運ぶ人の需要が低下します。つまり雇用状況が上向いたのでは無く、荷物が減った結果として採用がバランスした、と言えるのではないでしょうか。

上の表は当社が独自に調査をした「新型コロナウイルスによる企業影響度調査」業種別の回答結果です。製造業、サービス業と同レベルで運送業にも大きなマイナスの影響があったことがわかります。
これは新規で登録に来社されるドライバーの方々から聞こえる声にもにじんでいます。
「仕事の休みが増えて稼げないから退職しました」、「会社で仕事が無いから短期間だけ働ける派遣の仕事はないですか」といった理由での登録が非常に多いのです。
働きたいドライバーが増える、今までとは真逆の現象です。ですが今後もこのような買い手市場の状況が続くとは、私には思えません。

近い将来に起こりうること

同じく当社「「新型コロナウイルスによる企業影響度調査」結果のうち、運送を業とする企業の採用回復時期を見てみましょう。表のとおり8月まではコロナ禍に加え、お盆の影響もあり、回復の見込みは薄いものの、9月を潮目に12月に向けて急回復する予測が集中しています。これは年々前倒しになってきている年末繁忙に加え、コロナ禍で落ち込んだ物量が増加してくることを示しています。

ドライバーを採用する企業様に今、考えてほしいこと。

繁忙や回復の予想がある程度できても、確実性がなければ採用はリスクを伴います。そのため正社員採用には二の足を踏む企業様も少なくありません。ただ、ドライバー人材が労働市場で非常に限られた存在であることは、何も変わらない現実です。いざ不足することが判明してから動き出すのでは採用はうまくいきません。回復したポジションに対してドライバーの採用が間に合わない可能性が非常に高いのです。
採用に余裕があると言われている今こそ、将来に向けた採用計画を考えてみてはいかがでしょうか。恐らく忙しくなるであろうといった予測段階で柔軟性を持った採用、雇用計画が整っていれば、変化への対応力は格段に変わります。

私たちがお客様にできること。それは、お客様のビジネス環境を理解し、マンパワーを経営資源として最大限に活用できるようお手伝いをすることです。流動性への対応、柔軟性、機動性、安全、コンプライアンス…「人材活用」は様々な言葉で語られますが、その優先度はお客様によって異なるもの。アフターコロナに向けた、最適な一手の検討に人材サービスが培った知見やデータがお役にたてるかもしれません。