カウンターオファー(引き止め交渉)への対処 ~優秀な人材にあなたの会社を選んでもらうには?~

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あなたは採用担当者。候補者の中から最も優秀な人物を選び、採用の旨を通知したところです。相手はすぐに承諾し入社準備に入るものと信じていました。ところがそう上手くは運びません。

カウンターオファーという言葉をご存知ですか?採用担当者ならよく耳にしているかも知れませんが、現在の勤め先から、慰留の条件としてより良い待遇を提示される引き留め交渉のことです。

さて、ある内定者から、カウンターオファー(引き止め交渉)を受けていると報告を受けました。買い手市場の中でも選りすぐった人選をし、ぜひとも当社で働いて欲しい!と採用した内定者からの申し出。さて、あなたならどう対応しますか?

 

本心を見極める

内定者が現在の勤め先から待遇の改善を提示されている場合、こちらがすでに申し出た給与や福利厚生の条件を見直す前に、以下の対応を取る必要があります。

見極めるべきは、相手が御社からの内定を、勤務先の会社との交渉材料として利用しているだけなのか否かという点です。すべての志望者がそのポストを同じように強く希望しているとは限りません。カウンターオファー(引き止め交渉)に対抗するより先に、内定者の本心を推し量ってみる価値はあるでしょう。

少し前のレポートではありますが、「Jobvite Job Seeker Nation Study 2017(ジョブバイト各国の求職者調査2017)」(英語サイト)によれば、アメリカ西海岸地域の労働者の約21%が、カウンターオファー(引き止め交渉)を賃金交渉の材料に使ったと回答しています。このことは、採用担当者が内定者の入社意志について楽観できないことを表しています。

そのため、どの程度本気で入社を希望しているのか、採用面接時の様子から判断することが非常に重要になります。動画面接用ソフトウェアサービスのスパークハイヤー(Spark Hire)社は採用担当者へのアドバイスとして、面接中にまったく質問をしない(英語サイト)、あるいは転職したい具体的な理由がないといった志望者は、採用を辞退する可能性があると述べています。

 

企業文化をアピールする

内定者がカウンターオファー(引き止め交渉)を承諾しないようにする最も良い方法は、そもそも、引き留めがあっても検討すらしないよう御社に惹きつけておくことです。そこで重要になるのがエンプロイヤーブランディング(英語サイト)です。内定者に、従業員として現在の勤め先を上回る体験が得られるチャンスなのだと理解してもらうことが肝心です。

組織を支える企業文化(英語サイト)をアピールし、従業員に付与される福利厚生について広く発信しましょう。ソーシャルメディアは求職者の目に留まりやすく、優れた企業文化を知ってもらう有効なツールです。職場でのポジティブな経験を従業員がSNSに投稿することを奨励しましょう(もちろん社内規定に触れない程度にですが)。求職者は社員の口コミによって(英語サイト)職場環境をイメージしたいと考えています。

ジョブバイトの調査によれば、求職者の25%が応募先の会社について調べるためにフェイスブックを使用し、18~29歳の求職者の28%が企業文化について深く知るためにインスタグラムを閲覧しています。

求職者は企業を選ぶにあたってますます企業文化を重視するようになっており、求職者の13%が、企業文化が原因で採用を辞退したことがあると答えています(英語サイト)。ちなみに、給与が原因で辞退した人の割合は42%でした。企業の採用や人材獲得の戦略では、給与と同じように企業文化を極めて重要な要素として位置付ける必要があることがわかります。

 

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カウンターオファー(引き止め交渉)に対抗する

カウンターオファー(引き止め交渉)を受けた内定者は、ひょっとすると現在の会社で働き続けることに気持ちが動いているかもしれません。それには、気楽な環境にとどまりたい、昇進が約束されているなどの動機が考えられます。カウンターオファー(引き止め交渉)自体をどうこうすることはできませんが、そうなった場合の対抗策を取ることはできます。

転職活動に至った原因を内定者に思い起こさせることは、状況を冷静に判断してもらうという効果があるかもしれません。転職の原因について触れ、御社がそれまでに提示した資料に述べられている企業文化や、従業員を大切にする姿勢などに注目してもらうことは有効ではないでしょうか。どこで働きたいかを決めるのは、内定者自身です。ただし採用側も、新しい職務に100%コミットしない可能性のある人物を会社として迎え入れたいかどうかについては、よく考える必要があります。

結局のところ、勤務先からカウンターオファー(引き止め交渉)があったことを内定者が報告してきた場合は、その人物の能力を基準に判断することになります。同等のスキルを持つ別の人材を見つけるのが難しいと思えば、提示した条件の見直しは合理的な選択肢でしょう。しかしそのポストが、内定者にわずかに競り負けた「次点の」候補者でも問題なくこなせると思われれば、給与を引き上げることに意味はないかもしれません。本当に”わずかの差”であれば、「次点の」候補者が、御社にとって最高の採用だった、という結果になる可能性も十分にあり得るのです。

 

 

<出典>
本コラムは、ランスタッドのオリジナルコラム「reacting to the counteroffer how to ensure top talent wants to work for you?」に加筆・修正した内容となります。

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