これからの採用活動、VR(仮想現実)の効果をどう活かす?

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近年、VR(Virtual Reality:仮想現実)は様々な領域で急成長を遂げています。2019年に行われた調査(※)では、AR(Augmented Reality:拡張現実)およびVR関連の支出総額が2023年には1,606.5億ドル(約17兆3000億円)に達すると予測されており、2018年以降の年間平均成長率は78.3%になる見込みです。

その勢いは人事・労務の分野も例外ではなく、革新的な影響をもたらす可能性があると言えます。今回は人事分野の中でも特に採用領域でVRがどのように導入され、どのような効果をもたらしているかを解説していきます。

※出典:IDC Japan「Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H2」

 

1)企業内バーチャルツアーの提供

「説明会や面接に来た候補者たちは、本当にうちの会社で働くイメージができたのだろうか?」——経営者や採用担当者には、採用プロセスの中で、こうした不安を感じることが少なからずあるのではないでしょうか。

実際に入社した後で「思っていた仕事と違った」「雰囲気に合わなかった」など、短い期間で退職者が出た経験もあると思います。

それを解消するために今、企業で活用されはじめているのが、VRです。

VRの導入・活用方法として最もオーソドックスなのは、企業内バーチャルツアーの実施です。オフィスをはじめ、工場やさまざまな施設内部のVRを作成・提供することで、候補者は組織の雰囲気、環境について疑似体験することが可能になります。

VRは画像や映像と異なり、“没入型”の体験をもたらすテクノロジーです。そのため候補者は、将来の職場環境に実際に足を運んで自分の目で見るのに近い、リアルな体験ができるのです。

一方、VRを用いたバーチャルツアーの制作は手間やコストがかかるため、導入にあたって慎重になっている企業が多いのも現状です。しかし業種や仕事内容によっては、採用活動において高い効果をもたらすケースもあります。

例えば、世界中にいる同僚とインターネットを通じて連携しながら業務を遂行することや、実際の勤務地が地方や海外など、遠方になる場合など。通常のオフィスワークと異なる特殊な環境であっても、VRを活用すれば、将来の職場や働き方を、リアルに感じてもらうことが可能です。イメージを明確に掴むことで仕事への理解が深まり、入社後のギャップやミスマッチの削減につながるでしょう。

 

2)実践的なスキルテスト

働く環境のバーチャルツアーだけではなく、職場で起きるできごとや業務プロセスなどをVRで再現し、それを選考時の課題として活用することもできます。海外ではすでに、選考プロセスの一つとしてVRを導入している事例があります。

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例えばオーストラリア・コモンウェルス銀行では、VRを使って就業体験ができるアプリケーションを開発。入社前に企業文化を体感してもらうとともに、候補者の適性をテストするためにVRを活用しています。

イギリスには、さらにユニークな活用事例があります。大手自動車メーカーであるジャガー・ランドローバーは、MR(mixed-reality:複合現実)アプリを採用に取り入れました。バーチャル覆面音楽プロジェクト『Gorillaz(ゴリラズ)』の協力のもと、自社のエンジニアを採用するにあたって、あるコードを破るスキルテストをGorillazのアプリユーザーに提示したのです。

ジャガー・ランドローバーのプロモーションページ(英文のみ):
JAGUAR LAND ROVER AND GORILLAZ SEEK NEW ENGINEERING TALENT VIA ALTERNATE REALITY

ジャガー・ランドローバーは、この複合現実の中で行われたテストに成功した優秀なユーザーを、自社の採用プロセスに招待しました。

こうした実践的なスキルテストによって、企業側は候補者が実務に適したスキルを持っているかどうかを、より正確に判断することができます。それだけではなく、「テクノロジーを活用している先進的な企業」として、候補者の記憶にもプラスの印象を残すでしょう。そしてそれは結果的に、企業のエンプロイヤーブランド(勤務先としての魅力)と認知を高めることにつながります。

 

3)デジタルネイティブ世代へのアプローチ

超少子高齢化社会で採用も売り手市場である日本では、優秀な若年層にどうアプローチするか、頭を悩ませている採用担当者が多いと思います。

VRを使った採用プロセスは、日常の中で当たり前のように最先端のテクノロジーを活用するデジタルネイティブ世代の興味関心をひくことにも役立ちます。

VR活用による、若年層への訴求力の可能性を実感している企業の1つが、ドイツ最大の鉄道会社であるドイツ鉄道です。同社ではキャリアフェアにVRヘッドセットを導入し、実際に成果につなげています。

採用責任者のKerstin Wagner氏によると、まずキャリアフェアの会場において、ヘッドセットの効果で若い世代の参加者をひきつけることに成功。また企業説明にVRを活用することで、候補者に対し、その職に求められる役割をきちんと伝えることができたそうです。結果として、ドイツ鉄道では若く優秀な人材からの応募を獲得することができました。

採用のための施策やプロセスは、今後も進化し続けるでしょう。VRをはじめとした先進的なテクノロジーの導入は、これまで以上に重要になっていくと考えられます。従来の手法にとらわれず、自社の目指す採用ゴールと照らし合わせたうえで、プロセスの中でどのように新しいテクノロジーを活用できるか。人事戦略の一つとして検討してはいかがでしょうか。

本コラムは、ランスタッド・エヌ・ヴィーが制作したコンテンツをベースに加筆しています。

原文(英語):virtual reality in recruitment - how can your organization benefit?

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